世界でも類をみない長寿国となった日本は、現在急速に高齢化社会に向かっています。その結果、脳卒中の罹患者は上昇の一途をたどり、その死亡率は常に日本人の死因の上位を占めています。中高年の人を突然襲う脳卒中は、たとえ死をまぬがれても、手足の麻痺や言語障害などの後遺症を残すことが多く、患者さんのその後の社会活動の大きな妨げになります。脳は全身を統括する極めて重要な臓器であるにも関わらず、残念ながら脳についての検診は今まで積極的に行われませんでした。しかしながら、MRI(核磁気共鳴診断装置)などの画像診断の進歩により脳や脳血管の詳しい形態を診断できるようになりました。このMRI装置による画像診断を主検査とする一連の検査により、脳卒中や脳腫瘍などを発病する以前に発見しようとするのが脳ドック の目的です。
脳ドックにより、早期に脳の病気を発見し適切な治療を受ければそれら疾患の発症や進展を防止することが可能です。例えば、脳ドックで脳動脈瘤が発見されれば、瘤が破裂する前(くも膜下出血をおこす前)に出血防止のための治療を受けることができます。無症候性脳梗塞(気づかないうちに起きていた脳梗塞)が発見されれば、脳梗塞の危険因子(高血圧・高脂血症・糖尿病・喫煙など)の有無を検討し、あればその危険因子を治療し、適切な生活指導を受けたり、脳梗塞の予防薬を服用することで新たな脳梗塞の発生を防ぎます。またこうした努力は脳梗塞が多発することによって生じる脳血管性痴呆を予防することにもなります。また脳腫瘍も早期に発見されることになり、ガンマナイフ(定位的放射線手術と呼ばれる放射線治療の一種)などにより、頭を開くことなく脳腫瘍の治療が可能な場合もあります。ガンマナイフ治療は頭にメスを入れることなく脳腫瘍の治療を可能とし、わずか2〜3日の入院ですむ画期的治療法ですが、小さな脳腫瘍にのみ有効なので、早期発見が重要となります。このように、脳の病気を早期に発見し、早期に治療しようとするのが脳ドックです。そのため当院では脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)をはじめとして脳腫瘍、脳血管性痴呆などを早期に発見し、みなさんが健やかに、楽しく明るい生活をおくれるように願って脳ドックを始めました。診断はもちろん日本脳神経外科学会認定の専門医が行います。脳についてご心配な方はこの機会にぜひ脳ドックの受診をされますことをお勧めいたします。
頭痛, 眼痛, 顔面痛, 首の痛み, 肩こり, めまい, 耳鳴り, 高血圧症, 糖尿病,
高脂血症, 肉親に脳卒中や脳腫瘍になった方がある人
当院では、最新鋭のMR装置(オランダ・フィリップス社製のGYROSCAN T-10NT)を導入して脳の形態像(MRI)と脳血管像(MRA)とを検査しています。MRIでは、脳梗塞,
脳出血, 脳腫瘍, 先天奇形, 脳血管奇形, 大きな脳動脈瘤, 変性疾患, 炎症性疾患などがわかります。
MRAでは、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤や脳j動静脈奇形, 脳梗塞の原因となる血管の狭窄などがわかります。
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正常脳 | 髄膜腫 | 脳動脈瘤 | 脳動静脈奇形 |
食生活やいままでかかった病気などについて聞きます
採血、心電図、MR検査(撮影は約20分です)
脳神経外科専門医により、神経学的検査(診察)があります
検査結果の説明は、後日ご希望の日に行います。必要に応じて生活指導や栄養指導を行います。異常のある場合は精密検査をいたします。
脳ドックは、外来窓口または電話にて「脳ドック」係にお申し込み下さい。尚、脳ドックは予約制です。
谷川脳神経外科「脳ドック」の申し込み電話番号は